2020年 熊野寮入寮パンフレット
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熊野寮に住んでみた

そこそこの年数住んできた中で熊野寮は面白いとこだなぁと思うことはしばしばあって, その根源は発想力や思考力, 実行力じゃないかと思っている. 特に実行力というのは大学の中でも寮は飛び抜けていると思っていて, 周りを見てると色んな物事へのハードルが低いよね. 学問をする, 旅行に行く, ゲームをする, イベントをする, 工作をする, バンドを組む, 議論をする, などなど思い出せないぐらい色んなことをしている人を見るのだけども, 先人や, 一緒にする相手, スペースといったものが当たり前に存在するのは大きいんだろうな. あと留年・休学へのハードルもめちゃくちゃ低い. 熊野寮のいたるところにいる, (人より長い) 学生期間を自分の興味に投入している人々を見てるだけで, 動物園に行ったような満足感が得られてコスパ良いからオススメ.

ただね, もし住むとなったら思い出してほしいのは, 熊野寮は寮生が安い賃料で楽しく可笑しく過ごす場所ではなく, 「大学生・大学院生」の特に「金銭的弱者」が多く住む「生活の場」であり, 「人は流動する」ということ.

ちなみに大学生・大学院生や金銭的弱者が何であるか偏見ありきで述べたのがこちら.

大学生・大学院生

平日の日中は授業・研究などが, 夕方や休日はバイト・サークル・研究・飲み会などがマストであることが多い人種. やりたいことがいくつもある人も多い.

金銭的弱者

仕送りが完全にないまたは少ない学生. 留年することが許されず, また必要なお金(生活費・授業料・交際費・車校費など) をすべて自力でかき集めないといけない為, 単位を取りにいくことと過度なバイトをすることが義務付けられている人種. 寮を出て一人暮らしをしてしまうと, 人としての生活を保つことすら望めないことも.

こういった人がメインで生活しているのが熊野寮の実態. ここに住むかどうかは任意ではなく, ここでしか生活が出来ない人がいる. そして, 想像してもらうと分かるように, 日々自分の人生を成り立たせるので忙しく, 暇人の戯れに巻き込まれている場合じゃなかったりする. みんなを巻き込んで何かをしたり, 新しい制度や取り組みをすることは素敵なことだし, そういうのが寮を活性化していくのだろうとも思うけど, 他者の「日々の生活」を犠牲にしてないかは考えてほしい. また, 自分ややる気のある暇人がいないと成り立たない制度を作ろうとしてないかも. 自己本位な自己実現なら他所でやろう. 一生寮にいそうな人もちらほらいるけれど, 実は誰しも皆いずれ出ていくんだよね.

まあこんな感じで老害プレイをしてしまってごめんなんだけれど, とりあえず世間も将来も忘れて自分のやりたいことに没頭する数年間(で済むかどうかはその人次第) が得られる熊野寮, 結構良い選択肢だと思うよ. 知らんけど.

(文: 初老)