2020年 熊野寮入寮パンフレット
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熊野寮でいうところの自治について

熊野寮のパンフレットに一文を書くように依頼を受けたので好き勝手に書こうと思う.

はじめに, 自己紹介をしておくと, 私は熊野寮にはかれこれ7年くらい住んでいる大学院生である. 専門は近代経済学である.

何を書くべきかについていいアイデアが思い浮かばなかったので, 熊野寮の自治について書いていこうと思う. 楽しい側面としての熊野寮についてはどっかで誰かが書くだろうから, 積極的に自治に参加しないと悲しい思いをするぞという観点で熊野寮の自治について書いていこうと思う.

「熊野寮は自治寮である」ということは, このパンフレットのいたるところで書かれている(と思う) . 自治とは何か?ということについて簡単に述べると「自分たちのことは自分たちで決める」ということだ. 多くの人にとって自治といえば, 身近なところだと地元の町内会の意味での自治会であったり, 都道府県・市区町村のような地方自治体のことをイメージするかもしれない. あるいは世界史で学ぶところの中世封建社会で領主から独立するという意味での自治であるかもしれない.

分類としてはおおよそその認識で正しい. しかし, 熊野寮が求めるところの自治と町内会や地方自治体での自治は大きく異なる. 熊野寮での自治会と個人の関りにおいて大事な点は, 間接的に自治に参加するのではなく, 直接自治に参加する必要がある点である. 個人的にはこの点が町内会や地方自治体での自治と熊野寮の自治が異なる点だと思う.

熊野寮で生活する上でたくさんの問題にぶつかることになる. それは同じ部屋の人との生活の違いをはじめとする, 他者との生活習慣の違いから生じる軋轢によるものであったり, 建物の老朽化から来る生活上の不便であったり, 大学と寮自治会との価値観・政治観の対立による問題であったりするかもしれない. なんにせよ基本的には熊野寮に住む以上はそれらの問題に自分で対処する必要がある. 基本的には誰も助けてくれないし, 自らの問題は自分で解決していかなければならないと考えておいてほしい.

とはいえ個々人のできることなんかたかが知れているし, 問題が大きくなるにつれて一人では対処しきれなくなってしまう.

例えば, 台風がきて部屋の窓が壊れてしまったとしよう. まさかそんなことはないと思うかもしれない. しかし, おととしの夏には想定外の規模の台風が来て, 実際に熊野寮の居室の窓は割れ, 敷地内の木々や看板が倒れた1. そんな時, もちろん自分一人で対処することは可能だろう. 応急処置として, 窓を段ボールでふさぐとか, ガムテープで無理やり固定するとかやりかねない. そのまま冬に突入するととんでもなく不便な思いをすることになるだろう. 今年の冬は比較的暖かいが, 京都の冬はだいたい寒い. そうすると業者を呼んだりして修理していくことになるが個人でやるのは費用がかさむ. そこで自治会として対処することになるが, 基本的に自治会は黙っていれば何にもしてくれない.

このように個人が対処するには経済的・身体的に費用がかかってしまうことを大なり小なり自治会として対応していくことになるのだが, 寮自治会というのは規律・統制のとれた立派な組織ではないし, 所詮学生がわちゃわちゃやっているだけの組織に過ぎない. その中で自発的に自治会に働きかけることをしないときっと生活は良くならず, 不便を強いられることになる. 熊野寮で生活する上では, 自発的に直接自らが自治会に働きかけたり, 参加することによって生活をしていくことが大切なのである. 熊野寮に入寮した暁には, 是非自発的・積極的に自治会に参加して熊野寮での生活を快適で素晴らしいものにしていってほしいと思う.

文: T.I


  1. 補足しておくと別に熊野寮があまりにも古くて台風が来たらつぶれるというわけではない. 近隣の街路樹とかも倒れたり, 民家の屋根が飛んでたりしたので2018年の台風が強かっただけの話.